依存症ラボ

その他の依存症

依存症を、これまで大切にしてきた家族や友人との関係や、仕事(学校)、趣味よりも、依存対象を優先し「やめたくてもやめられない不健康な習慣にはまっている状態」として広く捉えると、依存症とは、あらゆるものが対象になるとも言えます。また、複数の依存対象を持つクロスアディクションと言われる状態もあります。ここでは、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類などでまだ病気として定義されていないものも含め、社会的に影響の大きいものをいくつかご紹介します。

インターネット依存症
依存症は年齢・性別を問わず、あらゆる人がなる可能性のある「こころの病気」ですが、特にインターネット依存(インターネット・ゲーム依存)は、成長過程にある小学生や中学生といった子供たちにまで広がっており、深刻な社会問題になっています。睡眠不足、食事の不規則、運動不足による体調不良のほか、成長期の子供の発育阻害も引き起こします。また、ネットゲームなどの高額課金による金銭トラブルや、ゲームやスマホに使うお金欲しさの万引きや窃盗といった犯罪につながる場合もあります。2014年8月に発表された厚生労働省研究班の発表によれば、インターネット依存の傾向がある成人は421万人と推計され、年齢が若いほど割合が高い傾向が見られます。まだ専門的な治療を行っている機関はごくわずかで、さらなる研究が待たれている状況です。
その他の依存症
ニコチン依存症
喫煙による健康被害は広く知られるところですが、それにもかかわらず多くの喫煙者がタバコをやめられないのは、タバコに含まれるニコチンが依存性のある薬物だからということは、あまり知られていません。ニコチン依存症はWHO(世界保健機関)の国際疾病分類でも認められている、精神疾患です。日本ではようやく喫煙を単なる「習慣」ではなく、依存症としての「疾患」と捉え、2006年4月より禁煙治療に健康保険が適応されるようになりました。
窃盗癖(クレプトマニア)
ほかの依存症では、依存対象を手にいれるために盗みを働くケースが見られますが、窃盗癖は、窃盗という行為自体が依存対象になります。「癖」と名付けられていますが、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類でも認められている精神疾患です。お金に困って盗みを働く場合と違って、窃盗癖はお金があったり、社会的地位が高かったりしても、盗みたいという衝動を抑えることができない「こころの病気」です。個人の性格や資質の問題にされがちですが、社会的に受けるダメージが大きいにもかかわらず、やめたくてもやめられないのです。窃盗癖の研究は十分に進んではいませんが、一般的に女性の割合が高く、摂食障害や買い物依存症を合併するケースが多く報告されています。窃盗という行為自体が犯罪ですから、見つかれば捕まります。しかも再犯になるほど刑が重くなっていき、実刑も免れません。今のところ、こうした窃盗癖の依存症者も区別なく司法の場で裁かれていますが、再犯を防ぐためには、窃盗癖の専門的な治療がかかせません。ワンネスグループのダイバージョンセンターのように、司法的回復を専門とする弁護士の支援を受け、刑事手続きを「生き直し」のきっかけにして、窃盗癖の根本にある「生きづらさ」を乗り越えることが大切です。