
犯罪の“真犯人”は依存症!?
○犯罪の“真犯人”は依存症!?
日々、私たちの耳にもニュースとして入ってくる横領や窃盗などの犯罪は、影にギャンブル依存やクレプトマニア(万引き行為依存)が潜んでいることが多々あります。また違法薬物の所持や使用、アルコールに関する事件も同じく、依存症に陥っている場合が多くあります。違法薬物はそのものが触法行為ですが、依存症を患っているから、罪を犯してしまうという逆説的なとらえ方もできるのです。依存症回復支援の専門家にとって、日々報道されるニュースは、依存症者からの助けを求める声にも聞こえます。事件の犯人は依存症で止まらなくなっているのですから、「本当の犯人は依存症」と言っても過言ではなく、病気に目を向け、正しい回復なくしては再犯を防ぐこともできません。
○依存症回復につなげるダイバージョン
依存症が原因となって触法行為をくり返してしまう方を適切な治療へつなげ、正しい回復へ導くことを目的とした治療的・回復的司法「ダイバージョン
という取り組みをご存じでしょうか? 意志の弱さゆえ、犯行をくり返すと考えられ、重い処罰を受けても、また再犯してしまうという従来の負のスパイラルに、依存症という病気の観点を持ち込み、本人をしかるべき治療や回復につなぎます。今、このダイバージョンの活動に精力的に取り組まれている弁護士の菅原直美先生は、「『ダイバージョン』とは、英語で「転換」の意味を持ちます。正しい回復につながることで、その方自身が、今までの自分の生き方を見つめ直し、新しい人生を歩んでいけるよう支援する『生き直し』の場にすることが、ダイバージョンの目的です」と話してくれました。
○「刑の一部執行猶予制度」を回復のきっかけに
現在、新しい刑事司法制度として薬物事犯者を中心とした「刑の一部執行猶予制度」が、平成28年6月までにスタートすることが決定されています。この制度とは、たとえば薬物による触法行為での実刑判決のなかで、一定期間が執行された後、社会の中で厚生を図るようになるのですが、その一部執行猶予期間に依存症回復プログラムを受けるなどすることで、依存からの脱却を始める「きっかけ」になるのではないでしょうか? 菅原直美先生たちのグループでは、こういった活動を取り入れることで再犯防止が可能にできないかと、実践に向けて準備を進めています。
みみなしやま法律相談事務所 菅原直美先生
〒634-0006 奈良県橿原市新賀町297ハイネス上田201
TEL0744-47-2484(平日10:00~17:00)
http://nara-therapeutic-justice.jimdo.com/