
清原和博元選手と薬物依存症
~刑罰よりも治療・回復に向けたアプローチを~
かつて日本中を熱狂の渦に巻いたスーパースター。輝かしい功績を残し、日本のプロ野球界の一時代を築いた、清原和博元選手の覚醒剤取締法違反による逮捕。その後もすでに常習状態だったなど、続報が続いています。
ニュースのコメンテーターや芸能関係者、世間の声を聞くと、手厳しい言葉も多く聞かれます。「厳罰に処するべき」、また「心の弱さに負けた」という表現も耳にします。
しかし“薬物依存”という観点から見た時、そういったコメントは実は本質が捉えられていないように、感じられます。厳しい言葉を発する方々は「依存症なんて自分にはまったく無縁のもの」という前提に立って語られている、もしくは薬物使用と依存症の関係を理解されていないからではないでしょうか。
薬物をはじめとした“依存症”は、私たちの日常のすぐ隣にあって、いつでも誰でもふとしたきっかけで陥る危険性は十分にあります。薬物使用はもちろん犯罪です。しかし処罰で使用を止めることはできるのでしょうか?
●犯罪化というアプローチが適切か疑問――脳科学者・茂木健一郎氏の提言
そんな中、脳科学者・茂木健一郎先生がTwitterで発言されました。
※茂木健一郎氏のTwitter @kenichiromogi(https://twitter.com/kenichiromogi)
まず茂木氏は、覚醒剤をはじめとした薬物を製造・販売する側と、使用者側への対処をわけて考えるべきではないかと述べられています。
※参考URL:https://twitter.com/kenichiromogi/status/694630638532452352?ref_src=twsrc^tfw
そして、薬物使用者=薬物依存症者に対し、必要なのは「犯罪として立件し取り扱うこと」よりも、むしろ「治療」、回復に向けたアプローチなのではと提言されました。
なぜなら薬物依存は、薬物産業を結果として支える、薬物の影響による自傷他害の危険性といった限られた意味で反社会的行為ではありますが、実は一番被害を受けているのは依存症者本人だからだ、と。
「一番被害を受けているのは、実は依存症者本人」――茂木氏のような専門家の立場の方が、この点を指摘されたことの意義は大変大きいでしょう。
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非合法の薬物を使用することは、そのような産業を結果として支えたり、あるいは、薬物の作用で自分や人を傷つけたりする可能性があるという意味では反社会的だが、いちばん被害を受けているのは実は本人であり、犯罪化というアプローチが適切なのかどうかは疑問である。
※https://twitter.com/kenichiromogi/status/694630941222838272?ref_src=twsrc^tfw
むしろ、身体を強制的に拘束するにせよ、違法薬物の脳や身体に及ぼす悪影響についてのレクチャーや、依存症から脱するためのさまざまな厚生プログラムを実施するというアプローチの方が、「禁錮」や「懲役」といった刑罰よりも、結果として社会のためになると思う。
※https://twitter.com/kenichiromogi/status/694631296245460993?ref_src=twsrc^tfw
—(引用原文ママ)——————————————————————-
そして薬物“犯罪”の「再犯率」の高さに触れ、回復に向けた更生プログラムこそを充実させ、「犯罪」とは別のカテゴリーでの強制措置のありかたが検討されるべきだとされています。
※参考URL:https://twitter.com/kenichiromogi/status/694631589938999296?ref_src=twsrc^tfw
麻生マリ子(母娘・家族問題研究家)
(文:麻生マリ子/母娘・家族問題研究家)
女性たちの抱える生きづらさの背景として、母娘関係に着目。10年間に渡る取材・著述活動を経て、現在は母娘問題・家族をテーマに研究、著作。また新聞や雑誌、WEB媒体などへ寄稿、コメント提供を行う。1977年、福岡県生まれ。自身も娘を持つ母である。
・ブログ:http://ameblo.jp/asomariko/
・公式Facebookページ:https://www.facebook.com/asomrk/