
欧米諸国での扱いに注目が集まるなか、 カナダで2017年春ごろ、大麻が合法化へ。
カナダは2016年4月20日に行われた薬物問題に関する国連総会の会合で、「2017年春頃までに大麻を合法化する法整備を予定している」と明らかにしました。今回、カナダで大麻を合法化するのは、大麻販売で不当に利益を得る売人を取り締まり、未成年者から大麻を遠ざけるという2つの目的があると言います。欧米では医療用として大麻を使用している国もありますし、オランダでは嗜好品として、大麻はライフスタイルのひとつになっています。アメリカでは合法化されている州もあります。大麻使用の動きが、欧米で広がっているようにも感じられますが、とはいえ、賛否の声が根強く、慎重に考えなければならない問題です。どのように考えられているのでしょうか。
●大麻解禁への動きの背景
これまでカナダでは医療目的での大麻使用は許可されていましたが、今回の法改正は嗜好品として大麻使用も認めるというもの。嗜好用としての大麻は、約20年前から解禁されているオランダのほか、2013年には南米ウルグアイで、2014年からはアメリカの一部の州でも合法化されてきました。カリフォルニア州では2010年に住民投票で合法化反対の結果が出ましたが、2016年11月の大統領選に合わせて、再度住民投票が行われる予定になっています。
このように北南米で大麻自由化への動きが増加している理由のひとつには、メキシコから大麻が大量に流入し、社会に蔓延しきっているという背景があるため。合法化することで闇社会に流れる資金を減らし、課税して税収を上げたいという行政側の思惑があります。
●解決していない懸念材料も
アルコールの場合、危険運転を取り締まるためのアルコール検査器のようなツールがありますが、大麻においてはまだ準備が不十分です。ですから、大麻喫煙後の運転を取り締まることが現時点では不可能など、懸念材料も存在しています。
また、大麻賛成派からは「ナチュラルなものだから安全とか、「覚せい剤やアルコールと比べて急性中毒で死亡する可能性や依存性が低いとも言われます。しかし、薬物中毒で苦しむ方の経験談からは、大麻などが入り口となって中毒性の高い薬物へ溺れる「ゲートウェイドラッグ」になっている現状も報告されており、やはり安心安全とは言えない一面があります。
自由化か規制強化か、どちらの道を選んだとしても、依存する対象が変わるだけで根本的な問題が解決しないのでは意味がありません。また一度、合法化したものを、非合法化しようとした場合、さらなる労力が必要になるでしょう。大麻の扱いについては、国や地域によっても状況はさまざまであり、明快な答えが存在するとは思えませんが、カナダの合法化によって、社会がどのような反応や変化を起こすのか、また変化しないのかなど、どのような対策をとって共存を目指すのか、その動きを注視したいところです。