
日本人の必須衛生アイテム「マスク」にご注意を!!
○日本人の必須アイテム「マスク」にご注意を
インフルエンザや花粉症への対策として、とくに冬から春先にかけて、日本ではマスクの着用率が上昇します。このマスク、2009年に新型インフルエンザが流行した頃から、日本でマスクを着用する人が増加し始めました。シーズンの立ち上がりには、毎年機能性やファッション性がアップしたマスクが、ドラッグストアやコンビニなどにラインナップされていますね。今や私たちにとってマスクは身近な衛生アイテム。主な目的は、ウィルスの飛沫感染を防ぎ、花粉や刺激物から喉や鼻を守ることにあります。女性にとっては「ちょっとコンビニまで…」といったノーメイクでの外出時に、パッと顔を隠してくれるお助けアイテムでもありますよね。しかし、その本来の用途とは別の目的で、マスクを着用せずにはいられないケースが報告されているのをご存じですか? 「だてメガネ」のように「だてマスク」とも呼ばれているのですが、様々な要因が絡んでマスクが手放せなくなってしまうこころの問題と言われています。だてメガネもだてマスクもとくに女性にとっては、メイクをちゃんとしていなくても外出できてしまうすぐれアイテムです。ちょっとそこまでだから、メガネとマスクで…。なんて人は多いと思いますが、この「だてマスク」が進行すると、マスクを着用していないと落ち着かなくなり、マスクの着用なしでは外出さえも困難になりそうです。性別に関係なく、心の落ち着きを得るために、マスクを着用せずにはいられない…。そんな状況を「だてマスク依存」と呼ぶそうです。
○「だてマスク依存」はなぜ起きる?
このだてマスク、最近は着用するだけでフェイスラインを美しく見せてくれるものも販売されているそう。それだけ市場のニーズがあるという証拠ですが、だてマスク依存を引き起こす要因は、大きく2つに分類されます。1つ目は、顔のコンプレックスを隠すなどの身体的要因。もう一つが、対人恐怖症などの精神的要因です。
顔のコンプレックスを隠すためのだてマスク依存は、若い女性に多いと言われています。症状が重くなると、顔や歯並びなどのコンプレックスを隠すためにマスクを活用するようになります。コンプレックスである顔をマスクで隠すことによって、安心して外出できるようになるのだとか。
だてマスクは精神面にも影響をします。マスクを着用していると、他人と壁や距離を作りやすくなります。人と接することが苦手な人や、コミュニケーションが苦手な人の場合、自らマスクで壁を作ることで、人と会話する機会を減らし、マスクを着用することで精神のバランスを保っているそうです。
○「だてマスク依存」が深刻化すると…
マスクそのものには、薬物などと違って有害な物質は含まれていません。マスクを着用しているだけですので、たいした問題はないと考えてしまいがちです。ですが、だてマスク依存が進行すると、本人が社会から孤立してしまう深刻な状況になることもあるのです。
日本中がマスク着用者であふれる冬から春にかけては、「だてマスク」であっても、気づかれずに過ごせるでしょう。しかしマスクシーズンが終わり、夏場でもマスクを着用し続けている姿は、かなり奇異な目で見られることとなります。このような無遠慮な視線が、精神的な負担となり、さらにマスクでコミュニケーションをシャットアウトしてしまう…。その結果、外出するのが苦痛になるなど、症状が深刻化してしまうのです。マスクをつけずにはいられないという、心の状態についてまで、世間で十分に理解されていないのが実情です。
人と接するのが苦手でマスクを着用している場合、顔を隠すことによって平穏を手に入れられます。表情や感情を表に出さないことで、落ち着いた状態で社会に出ることができるのです。一方で他人からすれば、表情が見えないと、何を考えているのか分かりづらくなります。その結果コミュニケーションが上手く図れなくなり、人間関係も悪化することに。人づき合いがもっと苦痛になり、さらに内にこもるようになるスパイラルに巻き込まれ、苦痛の限界を超えると、引きこもりに発展する可能性もあります。
○「だてマスク依存」を克服するには?
だてマスク依存を克服するには、勇気を出してマスクを外せばよいのでは?と思う人も少なくありません。ですがマスクを無理やり剥ぎ取っただけでは、根本的な解決とはなりません。マスクに依存した要因となるこころの問題が解消されない限り、結局は別のことに依存してしまう場合もあります。依存の背景には、一人ひとりが抱える「生きづらさ」がひそんでいます。この生きづらさを解消しなければ、依存対象が変わるだけ。身近にだてマスク依存の人がいる場合、無理にマスクを奪っても、根本的な解決とはならないのです。依存とこころの問題は密接なつながりがあります。こころの問題は意思だけで治すことはできません。症状が深刻化する前に、思い切って専門機関に相談してみることも大切だと言えます。