依存症ラボ

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薬物依存症 2016.04.06

大麻使用の低年齢化進む ~危険ドラッグ取締り強化の影響か?

●危険ドラッグの取締り強化後の摘発例

かつて「合法ドラッグ」や「脱法ハーブ」と呼ばれ、法の目をくぐり抜けてきた「危険ドラッグ」。2014年7月に政府が『危険ドラッグ乱用の根絶のための緊急対策』を発表して以来、取締りが強化され、繁華街で堂々と昼間から営業していた店舗も見かけなくなり、インターネットでの販売も続々と摘発されました。

2016年の初めにはNHKのアナウンサーが危険ドラッグを自宅で製造していたとして、「医薬品医療機器法違反(指定薬物所持)の疑いで逮捕されました。同じ頃、大阪府の富田林市職員も危険ドラッグの製造・所持のため、同法違反で罰金の略式命令を受けています。

この2人のほか、福岡県の陸上自衛官などへ危険ドラッグを販売していたとされる業者が3月16日に摘発されました。業者は、現在国内で流通している危険ドラッグの主流とされる「ラッシュ」の原料をキットにして販売。これを購入・使用して逮捕されたNHK職員や市職員、自衛官はいずれも懲戒免職処分になっています。

取締り強化後も、ごく普通の会社員や公的な立場にある人でも簡単に入手できる「危険ドラッグ」。刑罰以上に社会的制裁も大きく、たった一度、興味本位での使用が人生を狂わせるのです。

●危険ドラッグ取締りの裏で、大麻の人気が復活

前出のような摘発例はありますが、一般的には国をあげての取締りによって供給ルートが激減し、危険ドラッグの一般的な使用については成果が現れてきたと考えられています。しかし、今度は「大麻」の需要が増え、しかも低年齢化しているという気になるニュースが続いています。

2015年11月には、京都の市立小学校に通う小学6年の男児が大麻を吸引したとして世間を驚かせました。小学校で喫煙に関しての指導を行っていた際、「大麻を吸ったことがある」という男児の話から事件が発覚。男児は高校生の兄の部屋で大麻を見つけ、兄に見つからないようにして数週間の間に4回にもわたって大麻を吸引した事実を認めました。

大阪では、路上パトロール中の警察官が中学3年の男子生徒に職務質問をして所持品検査を行ったところ、チャック付きのポリ袋に入った乾燥大麻の固形物や紙巻き大麻を発見。男子中学生は「先輩からもらった」と供述し、大麻取締法違反(所持)で逮捕に至りました。

また、使用だけでなく、大学生が密輸入したというニュースも。2016年1月、私立大4年生の容疑者ら2人が、米ロサンゼルス発の航空便で大麻草441g(末端価格約220万円)を輸入しようとして大麻取締法違反(営利目的輸入)で逮捕されました。大麻草はシリアル食品の箱に入れられており、形や大きさが似ているシリアルを装ってX線検査を通そうとしたとみられています。

●現代の子どもたちの日常生活に潜む危険

ひと昔前なら、タバコや薬物に手を出す子どもは、不良行為を行うグループだけというイメージでしたが、今はインターネットで情報が何でも手に入り、LINEなどのSNSで一気に拡がっていく時代。普通に生活をしていても、危険と隣り合わせの可能性があるのです。大学生が密輸入まで行ってしまえるということは、身近に薬物が存在している証拠でしょう。

インターネットや口コミで広がる情報では、リスクは隠されているか、わかっていても実感がないために頭に入らないもの。判断がうまくできない子どもの手に危険なものを触れさせないためにも、タブーにするのではなく、普段から薬物やそれに至る心の問題を話し合っていける環境でありたいですね。

<参考サイト>
日本経済新聞 2016/03/10付
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09HDT_Q6A310C1CR0000/
産経WEST 2016/03/15付
http://www.sankei.com/west/news/160316/wst1603160056-n1.html
朝日新聞 2016/03/17付
http://www.asahi.com/articles/ASJ3J4RZQJ3JPTIL01R.html
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