依存症ラボ

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依存症全般 2016.05.03

再犯防止と犯罪の根本にある問題の解決を目指して、「刑の一部執行猶予制度」6月からスタート。

再犯をくり返す方の背景には、薬物やギャンブル、アルコールなど、依存症の問題があることが少なくありません。とくに注目が集まりやすい芸能界、スポーツ界においても、覚せい剤や大麻などの違法薬物の使用が明るみに出たり、何度も逮捕されたりといった様子を、度々、目にします。

●薬物事犯における再犯率の高さ
なかでも、覚せい剤で逮捕される再犯者は多く、検挙者に占めた再犯者率も年々増加しています。1997年の再犯者率は46.7%と半分以下でしたが、2014年の再犯者率は64.5%まで上昇しています。
また、年齢別に見ても高齢になればなるほど再犯者率が高く、20代では39.2%、50代になると80.2%にも及んでいます。長期に渡る依存から抜けるのが難しいことが、顕著に表れた例と言えます。

●「刑の一部執行猶予制度」とは
裁判を経てくだされた有罪判決について、従来までは実刑か執行猶予かのどちらかしかなく、実刑で刑務所において矯正教育を受けたにもかかわらず、また薬物に手を出してしまう…という、ケースも多くありました。
この度2016年6月からスタートする「刑の一部執行猶予制度」は、懲役や禁錮刑などの服役後、残りの刑期の執行を猶予するもの。執行猶予期間中に更生プログラムを受けたり、回復支援施設へ入所したりして、依存から抜け出すための専門的支援を受けることが可能です。
この制度の対象は刑期3年以下の初犯者や薬物使用者で、薬物の再犯者は執行猶予期間中に必ず保護観察が付きます。刑期の一部を回復支援施設のプログラム受講などにあてることで、受刑者を社会の中で更生させ、再犯防止につなげることを目的としています。

●刑事手続きを「生き直しの場」に
今後、広まることが考えられる「刑の一部執行猶予制度」はもちろん、刑事手続きによって依存症回復につながり、新しい人生を歩むためのきっかけにしてほしいと奔走する弁護士が、日本全国に存在します。
その中の一人、ワンネスグループ「ダイバージョンセンター」センター長の菅原直美弁護士は、「裁判を単なる法的解決の場にするのではなく、刑事手続きを依存症回復につなげ、新しい人生を歩めるように手助けしたい」と、効果的で実践的な弁護活動を行っています。
「ダイバージョン」とは英語で「転換」という意味。ダイバージョンセンターは、刑事手続きを「生き直しの場」に変えられる、その方にとって、本当の意味での解決を目指して、あらゆる方向から考え、一緒に取り組む組織です。
裁判で刑罰を決める際、再犯の可能性も大きな判断基準になります。そのため、再犯を起こさせないための取り組みを提示することで、実刑以外の選択肢がとられる可能性もあります。
社会秩序の安定のために刑罰が必要だという見方がある一方で、逮捕や刑罰を受ければ問題が解決するわけではなく、まずは依存を克服しなければ、何度でも同じことをくり返してしまうという考え方もあります。
この一部執行猶予の制度を通して、触法者の再犯防止につながる取組みについて、社会全体で考えていきたいものです。

ワンネスグループ「ダイバージョンセンター」HP
http://www.oneness-diversion.com/

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