依存症ラボ

program1
依存症全般 2016.06.25

依存症回復のために~ 治療薬ではない、回復プログラムの存在

トップページ写真は回復プログラムのひとつ「エンカウンターグループ」の様子。自らが抱えるさまざまな問題をトピックとして話し、参加者がお互いに意見を述べ合うなかで、問題の緩和や解決を図る。

●依存症は脳の仕組みが変容してしまう病気
アルコールやタバコがやめられない、度重なるギャンブル…、身体や生活への影響を考えた時、よくないとわかっていても止められないのは「意思が弱い」からと思っていませんか? それは本当に意志だけが理由でしょうか? 意志が強ければ、本当にやめられるのでしょうか?

「依存症」とは、アルコールやニコチン、かくせい剤や危険ドラッグ、ギャンブルなど…、身体や社会生活にあきらかに悪影響を及ぼし、本人の力だけではあらがうことができなくなっている状態です。この「アディクションラボ」では度々お伝えしてきましたが、依存には物質依存(アルコールやニコチン、覚せい剤などの物質を体内に取り込む)と、行動依存(ギャンブルやインターネット、人間関係など)があります。どちらのタイプも私たちの生活に近いものが多く、共存しています。物質依存はカフェインをはじめ、ニコチン、アルコール、ドラッグなどの物質が脳の神経に何らかの変化を引き起こすもの。摂取し続けると耐性や禁断症状など、身体への変化も起こります。行動依存はゲームやインターネット、ギャンブルなど…。恋愛などで相手に対して過剰に要求をする行為も行動依存のひとつと言えます。これらは脳内に快楽物質であるドーパミンを分泌させ、興奮状態が脳に記憶されてしまうことから始まります。

人の個性が千差万別であるように、脳内の物質がその人に及ぼす影響もまた人それぞれです。同じことをしても全員が同じ影響を受けるとは限りません。人より影響を受けやすいタイプの人が依存症になりやすく、また一度依存症になってしまうと、元の状態に戻すことはとても難しいのです。

●依存症は心の病気=精神疾患である
依存症は脳の仕組みが変容し、思考や感情が大きく変化する心の病気です。一般的な病気の場合は、手術や投薬などで治療すれば完治します。しかし、依存症の場合は投薬などで依存物質の摂取を止めることもできますが、一時的なものでしかなく、その背景にある根本的な問題と向き合わなければ、再発する可能性が非常に高い病気です。

依存症を根本的に回復するためには、まず依存症について学び知ることによって、自分の中で何が起こっているのかを理解することが必要です。それまで何も知らずに脳や身体の変化にされるがままになっていたこと、自分ひとりでは対処しきれなかった感情を理解して、依存につながる根本的なもの=当事者が抱えている問題に対して心のサポートを行う専門家が必要となってきます。もちろん家族の理解とサポートも大切です。

●依存症からの「回復」には専門プログラムがある
依存症からの「回復」にはメンタルヘルスに関わるカウンセラーやトレーナーの存在が不可欠です。依存症の回復先進国である欧米で効果があげられている方法を、専門のトレーナーが日本の文化に合った形で実践している団体もあります。

依存症からの「回復」に関しては、心理療法や専門のプログラムが多数あります。共同生活をしながら回復の道を歩む治療共同体リハビリ施設へ入所して生活環境を一新し、同じ志を持つ仲間とともに多様なプログラムに取り組む方法があります。規則正しい健康的な生活を送り、同じような状況に置かれている人たちと気持ちを共有し合って他者との信頼関係を学び、段階的に自己肯定感や自尊心を養うことで、もともとの自分と向き合うだけの力を身に着けていきます。依存症は生活習慣に大きく影響されるため、自分で自分を管理できる行動や生活習慣の改善を行うトレーニングをくり返し、再発防止のためのスキルを身に付けることも重要です。

依存症は再発の可能性がたいへん高く、一生涯をかけて、依存物質や行動を止め続ける日々を重ねていくことが必要です。依存症は回復が難しい病気ではありますが、回復プログラムを学び続けることで、回復の道は開けますし、もとの生活を取り戻せます。ただ「回復のためのプログラムがある」ことをご存じないまま苦しまれている方も多いのが現状です。ひとりでも多くの方がこの答えにたどりつき、回復への道を歩み始めていただきたいと願っています。アディクションラボでは、今後、回復のための具体的なプログラムをご紹介する予定です。

依存症相談窓口

ギャンブル、アルコール、薬物依存症でお困りならご相談ください。
薬物問題でのご相談の場合も、秘密は守られます。安心してご相談ください。

依存症SOSメール相談