依存症ラボ

Lonely woman standing with crossed arms - panorama
依存症全般 2017.05.16

依存症の要因になる心のクセは?
自分の感情に注目するトレーニングを専門家とともに。

●依存症は個人の心が要因?
依存症は個人の問題ととらえられがちですが、遺伝や生活環境にも要因があり、その相互関係によると考えられています。ギャンブルでもアルコールでも、ある程度でやめられる人と生活が破綻するほど夢中になる人とがいますので、比べれば、たしかに個人差のようにも感じられます。しかし、もともとの性格や考え方という面ひとつとっても、本人だけが作ったのではありません。

一般的に人は生まれてから5歳くらいの間に、世界観が形成されると言われています。
当時周りにいた人たちの行動や雑多な価値観、偶発的な事件などが無意識に刷り込まれて、
世界を測る基準になるそうです。もしも、こういった背景のなかで、物心ついた時から歪んだ眼鏡をかけていたとしたら、何もかもが歪曲して見えるでしょう。物事は既に持っている基準から解釈されるため、初めの判断が次の判断の方向性を決定していきます。
よって判断基準が古ければ古いほど、強固になると言えます。
誰でも幼少時には周りに関与されますが、その環境を作った大人もかつて子どもだった時代には、その時の大人たちからの影響を受け、代々同じように繋がってきました。
まったく歪みのない眼鏡は存在しないでしょう。
しかし、程度の差があります。

●自己肯定感(自尊感情)と依存の関係
例えば、幼少時に身近で暴力などが振るわれる場面に合うと、命令に従うほうがよいと受け取ります。幼ければ幼いほど理由もわからず、自分と他者の区別がつかないため、衝撃も大きいのです。似たような経験が積み重なれば、自らの気持ちを抑え、相手の言うことを聞く傾向が強くなってしまいます。自己肯定感(自尊感情)、おのれを大切に思い、好ましく感じる心は育ちにくいでしょう。「好きだ」と言ってくれた人物を貴重と考え、関係の維持に努力をし続け、執着して極端な行動を選んでしまうこともあります。発言や個性が強い人々に盲目的について行くなど、相手が替わっても同じパターンを踏襲しやすいのです。

依存症は、大きく分けて3つ。このような人間関係の依存(親子、恋人等)、物質への依存(タバコ、アルコール、薬物、飲食物等)、行動の依存(ギャンブル、買い物、インターネット等)があります。人間関係に固執するなかで、例えば相手が違法薬物使用を使用していたときに、それを注意できず一緒に使用していくというケースも見られます。自己肯定感が低いと、自分の感情や本音よりも、他者の意見を優位に置く習慣によって、絶えず周囲へ注意を払い、強い緊張状態にいます。心の不安定から簡単に手に入る快感や刺激を得やすいものに傾倒しやすく、別の様々な依存や精神疾患へも関係が深くなりやすいです。

●心を癒すには?
生きづらさだけを強いる信念はできるだけ早く手放したり、有益なものに変えたりすることで楽になることができます。自分の感情に注目する習慣作りが大切です。心のクセの発見にもつながりますから、苦しさを感じた状況や失敗に共通するパターンを探したり、似たタイプの人とのトラブルを振り返ったりすることが役立つでしょう。

ただ、歪んだ眼鏡に慣れていたら、何がどう曲がっているかも分らないものです。客観的に見たり、第三者として話を聞いてもらったりするなど、心の専門家とともに点検するほうが効果的です。たとえ本人が遡れないほど幼少期のクセであっても、イメージなどを使って改善させる手法もあります。そして、何より、思い出して辛くなるような出来事やトラウマに直接触れるのは安全ではありません。その部分を含んだ領域ごと変化をもたらすことができる心理療法もありますので、専門家との相談を強くお勧めします。
依存症の状態になった身体や脳は、長い時間をかけて、対象から離れたり、行動を変化させたりすることで改善、回復されていきます。正しい知識と確実なケアのできる専門家のサポートや、民間の依存症回復施設などによる支えが不可欠です。これは心の問題も同じです。あきらめずにふさわしいケアをしていきましょう。

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