
アルコール依存症を乗り越えたマイケル・フェルプス選手が話題に。
●「水の怪物」がアルコール依存症を克服との記事が拡散される
アスリートの活躍に世界中が沸き立っているリオデジャネイロオリンピックも終盤ですね。そんな中先日、このような記事が話題になりました。
荒れた生活から復活した水の怪物。フェルプスが乗り越えた苦難の年月。
http://number.bunshun.jp/articles/-/826266
<class=”p4″ style=”font-size: 13px; text-align:right;”>※スポーツマガジン『NumberWeb』より引用
スポーツマガジン『NumberWeb』で配信されたこの記事は、アメリカ選手団の旗手を務め、世界的に人気のスーパーアスリート、競泳のマイケル・フェルプス選手が、ロンドンオリンピック後に、アルコール依存症になっており、それを克服してリオに出場し結果を残したというものでした。
マイケル・フェルプス選手といえば、リオが5回目のオリンピック出場、今までの獲得メダル総数もトップクラスの選手。誰もがうらやむような栄光を手にした人でもアルコール依存症に陥ることはショッキングですし、またそれを克服してリオに出場したということもドラマティックです。ツイッターやフェイスブックなど、SNSで多く拡散されたこの記事を、読んだ方も多いかと思います。
●過去のトラウマと向き合い、自分自身を取り戻したフェルプス選手
フェルプス選手が、世界の頂点に立つことが当たり前とされはじめた北京オリンピックの後、彼は一度、競技生活を引退しています。2年後、ロンドンオリンピックを目指して競技に復帰するものの、目標も明確でなかったため、中途半端なままロンドンオリンピックに出場します。7種目に出場し、金4個、銀2個とすばらしい活躍をしたものの、一番得意とする200mバタフライで金メダルを逃しました。他の選手と同じように全身全霊をかけて努力しなかった自分を責め、心の安定を失った彼はアルコールやカジノへはまり、生活はすさんでいったそうです。
しかしフェルプス選手は依存症回復支援施設につながり、過去の自分と向き合います。彼は自身が9歳の時に両親が離婚、それ以来、一度も会ったことがない父親がいました。世界のトップアスリートとしてのプレッシャー、オリンピックという大きな舞台という節目の中で、自分を導いてくれる父親がいなかったことはつらかったと、上記の記事でコメントが紹介されていますが、その父親とも依存症回復プログラムの中で対面し、過去のわだかまりを癒すことができたそうです。
そして迎えた今回のリオデジャネイロオリンピック。ロンドンで逃した200mバタフライで、激闘の末、王者を奪還しました。また自身が持っていた五輪通算金メダル獲得レコードを更新しています。フェルプス選手は再び輝きを放ち、その強さを見せつけましたが、この4年間の大きな試練を乗り越えたことは、彼にとって金メダルの意味をいっそう深めたのではないでしょうか。
●依存症をプラスの節目にできたフェルプス選手
アディクションラボでは、今回のフェルプス選手の記事の中に、回復支援施設や回復プログラムについて触れられていたことに注目しました。
依存症はビッグスターだけでなく、誰でもなるものです。依存症になった時に、どのようにして本来の自分を取り戻せばいいのか、その手段が分からない場合がほとんどだと思います。病院での治療だけでなく、回復支援施設や回復プログラムといった社会資源があることが、もっと一般的になることで、自分やまわりの人が依存症になった時に、すみやかに対応できるようになるはずです。
またフェルプス選手は依存症になったことで、自分自身と向き合い、本来の自分を取戻すことができました。依存症を人生のプラスの節目にすることができた彼の体験が、今、多くの依存症で悩む方の励みになってくれるはずと感じています。
アディクションラボでは回復プログラムについての特集を組んでいます。過去の記事もぜひ読んでいただき、参考にしてください。
【こちらもお読みください】
●依存症回復のために~治療薬ではない、回復プログラムの存在
http://addiction-lab.com/?p=475
●12ステップと治療共同体
http://addiction-lab.com/?p=493
●「回復へ導くための手法」インタベンション
http://addiction-lab.com/?p=519
●回復の目標~社会復帰と専門職化
http://addiction-lab.com/?p=535